たつの岳の姥捨てと焼縄の難題
どんな伝承か
徳島県美馬郡一宇村の久日では、墓地の上の旧街道沿いに「たつの岳」と呼ぶ岳があり、昔は六十一歳になった老人を息子がここへ連れて上り、下へ落として命を終わらせる習わしがあったと伝わる。これを「終命」と呼んだ。ある年、親孝行な息子が六十一歳になった父を捨てるに忍びず、床下に隠して養った。殿様に父の助命を願ううち、焼縄を差し出せという命が下る。意味が分からず父に相談すると、鉄板の上で縄を焼き、形を崩さずに出せばよいと教えられた。そのとおりに献上すると殿様は感心し、六十一歳を過ぎても人は働けるとして父を許した。以来、岳から老人を捨てる習わしはやんだという。
原典より
<柳田——「六十落」>久日の墓地の上、久日・十家の旧街道に「たつの岳」がある。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。