皿を数えて泣くお春を祀る春喜さま
どんな伝承か
篠原に渋谷権右衛門という郷士がおり、その家にお春という美しい下女が奉公していた。権右衛門の弟藤四郎はお春に思いを寄せたが、お春には親が許した五つ違いの従兄がいて、なびかなかった。恨んだ藤四郎は、お春が家宝の皿を洗う隙に一枚を盗み、罪をお春に着せる。権右衛門は激怒し、折檻の末にお春を惨殺した。その夜から毎晩、お春の声で皿を数えては泣く者が現れ、やがて藤四郎は悶絶し、権右衛門も急死して、渋谷家は絶えたという。お春の霊を祀ったのが、篠原の南西にある春喜さまである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。