盗人に口をきいた西宇夫階の地蔵
どんな伝承か
香川県綾歌郡宇多津町の西宇夫階に有名な地蔵がある。昔、丸亀から高松へ続く街道を藍商人が通り、地蔵堂の前で盗人に刺し殺された。商人の懐を探る盗人の背後で誰かが笑い、振り向くと地蔵がこちらを見ているだけだった。盗人が今日のことは内密にと言うと、地蔵は自分は言わないがお前こそ口走るなと答えた。驚いた盗人は金を持って逃げた。十数年後、年老いた盗人が戻り、地蔵の前で悪事を悔いて罪を謝したところ、堂の裏から二人の青年が現れ、父の仇と叫んで盗人を斬った。殺された藍商人の遺児が仇を求めてここまで来ていたのだという。地蔵の導きと噂され、以来この石地蔵は物言う地蔵として知られた。
原典より
宇多津町西宇夫階に、有名な地蔵が祀られてある。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。