蛇の六兄弟と流された一之宮の神輿
どんな伝承か
むかし天皇に見初められた娘の親が、娘に化けて御殿に入り込み后となった。その正体は蛇体で、産屋も整わぬうちに産気づき、ウの枝とカヤで囲った小屋の中で六匹の蛇の子を産んだ。のぞき見た天皇は驚いて死に、蛇の子は散り散りに逃げたので、人々は退治して大きい順に一之宮から六之宮までに祀った。一番上が寒川神社である。兄弟は年に一度神揃山に集まるが、その帰り、二之宮と三之宮が待ち伏せて喧嘩となり、一之宮の神輿は馬入川に流された。翌朝、南湖の網元孫七が光るものを見つけて泳ぎ寄り、褌で結んで引き上げると、それは寒川神社の神輿だった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。