大師も名を知らなかった聖天林の木
どんな伝承か
天覧山の麓に飯能第一小学校がある。昔このあたりには聖天を祀る社があり、まわりが一面の欅林だったので、人々は聖天林と呼んでいた。その林の中に一本だけ見なれない木があり、誰に尋ねても名が分からない。折よく弘法大師がこの地方を通ると聞いた人々は、大師ならご存じだろうと待ち受けて尋ねた。ところが大師も木を眺めながら、ナンジャロウか、どんなモンジャロウか、と口の中でつぶやくばかり。それを聞いた村人たちは、ではナンジャモンジャですか、と言って帰ったという。以来この木はなんじゃもんじゃと呼ばれ、今も小学校の裏庭に枝を張っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。