杖を梯子に天へ帰った雷
どんな伝承か
津久見市の解脱閣寺には雷井戸の話が伝わる。至徳二年に南渓禅師が開いたと伝える寺である。ある日ものすごい雷雨があり、何者かが空から寺の庭へ落ちてきた。天へ帰りたそうだが伝って登るものがない。禅師が杖を庭に突き立ててやると、それを梯子にして天へ帰った。翌日、神人が礼に訪れて望みを尋ねたので、禅師は水がほしいと答えた。まもなく風雨が起こって山谷が鳴動し、寺の裏に泉が湧いた。庭の逆さシンパクは、その杖が芽吹いたものだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。