丑の刻詣りが生んだ力士稲妻
どんな伝承か
元禄から宝永の頃、諫早の土師ノ尾に子のない夫婦がいて、毎夜八天岳へ丑の刻詣りを重ね、八天狗に子を願った。満願の夜、妻は天狗が空から飛んで来て懐に入る夢を見、まもなく身ごもって男児を産んだ。夫婦は八天狗の申し子だと喜んで大蔵と名づけた。大蔵は幼い頃から力が強く、十一、二歳で八天岳へ草刈りに通ううち天狗に角力をいどまれ、その手を学んで近郷に並ぶ者がなくなった。稲妻と名乗って江戸へ上り、日本一の力士と力を比べるに至り、晩年は郷里で農を営み寛延三年七月十九日に没したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。