前浜に流れ着いた紅毛人の塚
どんな伝承か
珍しい物資を満載したオランダ船が、小値賀を望む海上を平戸へ急いでいた。日没近くに風向きが変わって東南の強風となり、大波に翻弄された船はついに浅瀬へ乗り上げて真っ二つになった。翌朝、浜津の前浜海岸で漂着物を眺めていた農民が、うめき声をたどって大岩の陰に血まみれの紅毛碧眼の男を見つけた。傍らにも同じ姿の者が二人いる。村人を呼んで焚火をたき手当てをしたが甲斐なく、海岸に近い丘の上に葬り、唐人塚あるいは異人塚と呼んで香華を手向けた。やがて忘れられ木陰に埋もれると近隣に病人が絶えず、粗末にしたためだろうと豊年大明神の祠を建てたところ奇病は絶えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。