鵜ノ目姫を奪った鬼八と鬼切丸
どんな伝承か
『高千穂町史』の伝えでは、三毛入野命は天笠から鵜戸、富高を経て五ヶ瀬川をさかのぼり高千穂に戻り、あららぎの里を宮居とした。二上山の千々窟に住む鬼八は、祖母岳明神の家の鵜ノ目姫を奪って鬼が窟に隠していた。水面に映る姫の姿を見た命は、田部左大臣と富高右大臣に四十四人を率いさせて窟を攻める。鬼八は諸塚や肥後の八代、阿蘇谷、祖母山まで逃げ回った末に討たれ、頭を東光寺、胴を一の祝子、手足を尾羽根に分けて埋められた。それでも霊が早霜を降らせて百姓を苦しめたため、笹の葉を振り鬼ねむらせ歌を繰り返す神楽が行われた。戦国期に岩井川城主甲斐宗摂が人身御供を猪に替え、ししかけまつりとなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。