霜宮に籠って火を焚く祝子の少女
どんな伝承か
『太宰管内志』が引く神洞の記である。霜宮には神殿というほどのものはなく、祝子を入れる四間四方ほどの建物があり、三方は格子で後ろは板壁である。祝子には阿蘇郡中の十五歳以下でまだ経水のない少女を選ぶ。七月七日から九月九日まで外へ出ることを許されず、その中で昼夜となく火を焚かせる。この火の焚きようが足りないと近郡に霜が多く降り、田畑の実りが悪いという。里人の語り伝えでは、昔、阿蘇の大神が狩の折に鬼へ矢を取らせたところ、鬼が足で取ったので怒って首を斬った。鬼の霊が祟って霜を降らせたため、骸を高い所に置いて下で火を焚き温めることにしたのが霜の宮の祭りの始まりだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。