立ったまま衣を縫った天皇の船出
どんな伝承か
神武天皇は冬十月五日に美々津港を出発した。そのとき立ったまま着物の綻びを繕ったので、この地を立縫の里ともいう。早朝の出立であったから「起きよ起きよ」と家々を起こして回り、餅と餡を一緒に搗いた搗き入れ団子を作った。天皇の船は七ツ礁と一ツ礁の間を北上して再び帰らなかったので、そこをお船出の瀬戸といい、通る船はないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。