七歳の猫が根子岳へ行く修業
どんな伝承か
肥後では、飼っている猫が七歳になる年に三日ほど姿を消すことがあるという。心配はいらない、阿蘇の根子岳へ修業に出ているのだと語られる。猫は火の玉のような姿になり、どんなに遠くても飛んでいくらしい。根子岳には山の精だという大きな黒猫がいて、訪ねてきた猫に三日三晩休みなく稽古をつける。もう十分だと見込みが立つと、その黒猫が相手の耳たぶをがりりと噛み割る。これが免許皆伝のしるしである。しるしを受けた猫は仲間内で親分格となり、鼠も恐れて寄りつかなくなるという。肥後は猫にやかましい土地だから大事に飼ってやれ、と語り手は言い添えた。
原典より
ああたんとこれにゃ、猫ば飼うとんなはりますか。—— 日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第14巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全75話(熊本・宮崎・鹿児島=南九州)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。