日を招き返した小牧こうちんの没落
どんな伝承か
祁答院上手の西小牧に、小牧こうちんという長者がいた。田が多いので方々から加勢人が来て田植えをし、田植え人数の多いことを「こうちんの田植えんごっじゃ」と言うようになった。ある年、田植えのすまぬうちに日が暮れかかったので、こうちんは「待て、おれが天道さあをあおぎもどさい」と言って日を招き返した。植え終えて皆が飲んで酔いつぶれているとき、にわかに雨が降り、土も苗も流されてしまった。これから「こうちん」の身代は傾きはじめ、まもなく滅びてしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。