いつまでも煮えぬ里芋と旅僧
どんな伝承か
厚地のある家で里芋をゆでていたところ、旅の僧が通りかかって芋を所望した。主婦がまだゆだっていないと言って断ると、僧は、ゆだらぬ方がよいのならと言い残して立ち去った。そのあと鍋から取り出してみると、煮えているはずの里芋は固い半なまのままで、いくら火にかけても煮えなかった。捨てたところ芽を出してよく茂ったという。この僧は弘法大師であったといい、以来これを大師芋と呼ぶようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。