赤い鳥が導いた十二方の神々
どんな伝承か
各地に根ざした諸神が人の世を作りなさる頃、一人の若い貧しい女がいた。仕えた主人は横暴で、野山での獲物が少ないと彼女をよく打ちのめした。ある日、女は原に出たが仕事は思わしくなく、主人の仕打ちを恐れて帰らず、原の小森に泊まると、夜中に異様な物音が雷のように原の中を駆けめぐった。翌朝、仕事にかかると一羽の赤い鳥が飛び来たって彼女にかしずき、その日は意外と獲物が多かった。幾日か後、女は原で産気づいて十二個の卵を生み、驚いて穴を掘って埋めた。ほど経て行ってみると十二人の児が母とすがりついてくる。育てるうち天から神霊が降って富貴を支え、児らは成人して十二方の神々と示現し、母も昇天して神と現れたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。