胸に太陽背に月を負う名人太郎
どんな伝承か
昔、この家の娘は豊見親の妾だったという。ある時、豊見親が来ると、娘は庭で太陽に向かって寝ていた。これを見た豊見親は、太陽の光がさし込んでいるからきっと子を授かったに違いない、おそれ多いと思って通わなくなった。娘は身に覚えがないと嘆いたが、生まれた子は胸に太陽、背中に月の形があった。七つ八つの頃、これを聞いた王が呼び出し、子は十六歳頃まで沖縄と行き来した。ある時、意外に死んでしまい葬式をしようとすると、大きなくしゃみをして目を開け、自分は死んでいない、天の父に呼び出され教えを受けて来たのだと言った。天から煙草を持ち帰って皆に分け、島建ての教えを説いて村を建て民をふやしたという。百二十歳で亡くなる時、名は名人太郎、一ヶ所に葬るな、子孫は常に他人の上に立つから氏神として拝めと遺言した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。