針の糸が導いた洞穴の大蛇と三人の娘
どんな伝承か
平良の「南の底」、宮古口でパイヌスゥクという所に十四、五の美しい娘がいた。腹が大きくなったので母が問うと、名も言わぬ美しい青年が毎晩忍んで来るという。両親は千尋の糸を通した針を男の髪に刺させ、翌朝その糸をたどると、漲水の御嶽へ向かう深い洞穴に入り、五メートルほどの大蛇が横たわっていた。その夜の夢で大蛇は、女の子を三人生むから三年たったらツカサヤーへ連れて来いと告げる。旧三月の巳の日、七つの浜と七つの干瀬を踏み、汲んだ潮を浴びせると三人の女の子が生まれた。満三年で連れて行くと大蛇が現れ、子らは恐れずに頭や胴や尾にすがりついた。蛇は涙をこぼして天へ昇り、三人の子も御嶽の内へ入って消えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。