疫病に位を譲った義本王
どんな伝承か
舜天の孫にあたる義本王の世に、天然痘が流行して人がほとんど死に絶えるほどになった。義本王は自分の生まれの身分が低く王位に立つ人間ではないとして、代わって政を執る者はいないかと役人に問うた。役人が英祖のテダコよりほかにないと答えたので、義本王は英祖を呼び、自分の束帯を着せてしばらく政を任せた。すると疫病もやみ、国は平穏になった。義本王は英祖のほうが身分が上だとして位を譲り、夜通し逃げて国頭の辺土のほうへ行き、その山で暮らしたという。向こうには墓もあると伝える。当時は浦添城址が政庁で、英祖はそこの役人であったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。