犬が知らせた迎えの日と身代わり
どんな伝承か
喜界町早町の大浦家の祖先にウフラ・ウフランという人がいた。犬好きで、いつも飼犬を連れて出た。ある日、白水との境の畠で牛耕をしていると、犬が牛の足元へ激しく吠え、北側の丘陵の斜面にあるムヤ(風葬時代の古墳)へ何度も駆け登った。あとを追ってムヤに入ると、内では大工が棺桶を作り、女たちが白い着物を縫い、帳場では記帳していた。訊ねると、一七日のうちに早町のウフラ・ウフランが来るので迎えの支度をしているという。助かる法を懇願すると、迎えの三日前に牛を屠って大祝を催し、同じ年に生まれた男に盃を差し、自分は竈の神の傍で鍋の蓋をかぶって蹲れと教えられた。そのとおりにすると、同年の友人が泣き叫びながら連れ去られ、ウフランは助かった。以来、同年生まれの人の祝宴には同席しない習わしができ、犬に助けられた家では代々犬を食うことを忌むという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。