雨を呼び刃の欠けた宝刀蛇丸
どんな伝承か
韮崎市神山町武田、むかしの武田村に石原のおへやと呼ばれた家があり、長さ一メートルあまりの大刀「蛇丸」が伝えられていた。ある年の夏、日照りが続いて村の北を流れる竪沢川の水が涸れ、田は乾ききって稲は枯れる寸前になった。そこで当主は伝家の宝刀を取り出し、蛇丸を川原の砂に突き立て、西山に向かって一心に雨を乞うた。すると空はにわかに曇り、大雨が降って川の水は増し、田は生気を取り戻した。そのとき濁流の中を大蛇が泳いでいたので、村人が驚いて石を投げつけると、大蛇はたちまち姿を消した。あとで刀はもとの場所に現れたが、刃の中ほどが欠けていたという。
原典より
むかし武田村の石原のおへやといわれた家に、蛇丸と呼ばれる長さ一メートル余りの大刀が伝えられていた。—— 韮崎市の民話伝説(韮崎市教育委員会・1967年(昭和42年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
韮崎市の民話伝説(韮崎市教育委員会・1967年(昭和42年))
『韮崎市の民話伝説』は、韮崎市教育委員会が昭和四十二年に発行した民話・伝説集である。韮崎・円野・中田・穴山・藤井・神山・穂坂・清哲・旭・大草・竜岡の十一町で民俗資料調査員が集めた百六十八話を収め、武田信玄・勝頼や鎮西八郎為朝、弘法大師の話、山の神のたたりや化かされた話などに話者名や『裏見寒話』などの出典を添える。巻頭に昔話と伝説の解説を置き、本文を木・石・水・塚・坂峠・山・谷沢・屋敷跡城址・祠堂・その他の十部に分ける。