松を伐られた天狗の石つぶて
どんな伝承か
熊谷市成田の竜渕寺には、昔、叱澗松という枝ぶりのよい松があった。寺の普請のためにこの松を伐り倒してからというもの、誰の仕業か毎夜寺の戸に石つぶてが投げつけられるようになった。僧侶が若党と見回っても何も見つからない。天狗の仕業だろうということになり、住職が松の切り株の上で座禅を組むようになると、つぶての音はやんだという。
原典より
成田の竜渕寺には、昔叱澗松という枝ぶりのよい松があった。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。