神木の大杉から昇天した龍燈
どんな伝承か
北本市高尾の氷川社の境内には、二丈五尺もある大杉があり、神木と崇められていた。万治三年七月二十二日の夜、新井某がこの神木の近くを通ると、龍燈が天へ昇っていく恐ろしい光景を見た。異変の前触れかと別当の泉龍寺に知らせると、住職の英真法印も驚いて一緒に出て確かめ、二人で不思議な光景に目を見張ったという。この神木は元禄十四年十月二日の大風で倒れ、氏子たちは跡を掘り上げて島にし、そこに厳島社を建てた。
原典より
昔、氷川社の境内に二丈五尺の大杉があって神木と称えられていた。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。