ダイダン坊の篭からこぼれた御堂山
どんな伝承か
嵐山町広野に大田坊と呼ばれる十ヘクタールほどの土地があり、粕川という細い川の両岸にまたがる田んぼになっている。低地で水が出るとすぐ沼のようになるため、人々はここに堰を作って粕川の水をせき止め、用水を蓄えた。この堰をダイダンボウ堰と呼ぶ。昔、ダイダン坊という大男が土をいっぱい入れた篭を背負ってここを通り、その足跡の一つがダイダン坊堰のあたりに、もう一つが滑川の羽尾のあたりに残ったと伝えられる。さらに篭の隙間から土がこぼれ落ちてできたのが太郎丸の御堂山で、もとは「メド山」と呼ばれていたのがいつしか御堂山になったのだという。
原典より
広野に大田坊とよばれる一〇ヘクタールほどの土地がある。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。