山の神が落とした二子山
どんな伝承か
横瀬町、武甲山の東に同じ形をして並んで見える山が二子山で、標高は八百八十七メートルほどである。昔、秩父の山の神がどこかに山を作ろうと、天秤に山を担いで芦ヶ久保まで来たとき、窪んだところに足を踏み入れた拍子に山を落としてしまった。そのとき同じような山が二つできたのが今の二子山だと口碑に伝わる。また芦ヶ久保という地名は、このときの山の神の足の窪みに由来するという。藤沢衛彦『日本伝説』北関東の巻に載る。
原典より
武甲山の東に相似形をなして見える山が二子山である。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。