大蛇の母と重忠の産湯の川
どんな伝承か
横瀬村にはオボッ川と呼ばれる川があり、正しくは生川という。昔、山あいの念仏寺に若い僧が一人で暮らしていた。夏の夜、寝つけずにいると衣ずれの音がし、雨戸を開けると庭先に美しい娘が立っていた。娘は毎晩寺を訪れるようになり、やがて僧と結ばれて身ごもる。産み月を迎えた娘は清水一杯と米七粒を求め、七日の間は部屋をのぞかないでほしいと頼んだ。だが三日目の朝に僧がのぞくと、一丈を超える大蛇がとぐろの上で男の子をあやしていた。姿を見られた大蛇は子を残して雲を呼び去った。子は谷川で産湯を使い、後の畠山重忠になったといい、そこから生川の名が起こったとされる。
原典より
秩父郡横瀬村に「オボッ川」と呼ばれる川があります。—— 秩父の伝説と方言 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。