夢告で子を授ける常泉寺の子持石
どんな伝承か
秩父札所三十四か所のうち三番、岩本山常泉寺に伝わる子持石の話である。昔、何ひとつ不自由のない仲睦まじい夫婦がいたが、子がいないことだけが悩みで、口癖のように子を欲しがっていた。ある夜、二人の夢に観音が現れ、常泉寺の子持石を信心すれば立派な子が生まれると告げた。夫婦は朝晩この石を拝み続け、ほどなく妻は身ごもって健やかな男の子を産んだ。二人は感謝の品を納め、話を伝え聞いた子のない人々も次々と参るようになった。子が眠る姿をしたこの石は、今も土地の人に固く信じられているという。
原典より
桜が咲き鶯が鳴く頃になると、 の杖を持って御詠歌を口ずさみながら、札所から札所へと参詣する観音講の人々をみかけます。—— 秩父の伝説と方言 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。