大般若経の書写に始まる般若の地名
どんな伝承か
小鹿野町の長若に般若という仏教めいた地名がある。秩父札所三十二番法性寺の寺伝によれば、昔、一人の僧がこの地を訪れ、一夜のうちに大般若経を写してこの寺に納めた。その経は寺宝として伝わり、書写に使った堂を般若堂と呼んだことから、土地も般若と呼ばれるようになったという。僧は弘法大師だったとする説もある。また土地の守り神として十六善神を祀ったことから十六という字名が生まれ、寺の旗が空に舞い上がって七日七晩その上を舞い続けたことから旗居の地名ができたとも寺は伝えている。
原典より
秩父郡長若(小鹿野町)に「般若」という地名があります。—— 秩父の伝説と方言 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。