白馬の観音が悪龍を封じた橋立鍾乳洞
どんな伝承か
秩父鉄道の浦山口駅から五分ほどの所に、札所二十八番橋立寺の奥の院である橋立鍾乳洞があり、県の天然記念物になっている。昔、橋立の渓流に霧の海という底知れない淵があり、そこに棲む悪龍が近くの家の牛や馬を夜ごとさらっていた。村人は不寝番を立てたが、番人がまどろむうちに空が黒雲に覆われ、雲が馬小屋を包むと馬が消えた。龍の仕業と知った村人が橋立の観音に退散を祈ると、観音堂から白馬が飛び出し、追ってきた悪龍を奥の院の岩屋へ誘い込んだ。龍はそのまま石にされたといい、洞内の昇り龍・下り龍の形はこの話にちなむと伝わる。
原典より
新緑あざやかな山峡を、秩父電車でかき分けながら、浦山口駅に着くと、そこより約五分で左側に巨大な岩石の山が見られます。—— 秩父の伝説と方言 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。