女房に化けた猫と勘七猫塚
どんな伝承か
昔、所沢の博打打ち勘七の女房およしは胸を病み、快癒を願って神に参った帰りに、子供たちにいじめられていた子猫を助けてやった。以来およしは元気になり、勘七も賭場で勝ち続けて親分と呼ばれる身になった。ある時八王子の賭場で大負けし、子分の常次郎を金の工面に所沢へ帰すと、常次郎は、およしが猫に化けて子猫を踊らせ三味線を弾いていたと告げた。問い詰められたおよしは、自分は助けられた猫で、亡くなったおかみさんに代わって尽くしてきたと明かし、常次郎を恨む言葉を残して消えた。七日目の夜、常次郎は喉を食い切られて死に、傍らでは大猫が舌をかんで死んでいた。祟りを恐れた勘七が建てて供養したのが勘七猫塚という。
原典より
勘七は胆をつぶすとともに、あとあとたたられては大変と塚を建てて、ねんごろに猫の供養をした。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。