松の葉に目を突かれた妻沼の聖天さま
どんな伝承か
熊谷市妻沼の聖天さまは松が嫌いだと言われ、民謡にもそう歌われている。そのため町では昔から松の薪を使うことも松を植えることも避け、嫁や婿の名が松吉やお松なら必ず改名させる習わしもあった。小学生にも松の名の子はほとんどおらず、正月の門松も今なお立てない。理屈をこねて松の盆栽を育てた家は、いずれつぶれるか傾くといわれる。聖天さまがどこかで松の葉に目を突かれたからだとされ、目を突いたのは帰依した斎藤別当実盛だったという説もある。
原典より
これは昔、聖天さまが、どこかで松の葉で目を突かれたことがあり、「世の中に松という木がなかったならば、こんなこともなかろうに」と、非常に松を嫌われたことに起因するといわれている。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。