褌を嫌った三ツ木の山王の猿
どんな伝承か
鴻巣市三ツ木の三ッ木神社は、明治二十年に山王権現社へ天満社・八幡社・氷川社・稲荷社を合わせ祀った社である。『遊歴雑記』によれば、山王社には三匹の猿の像があり、中央の大猿は宝珠を持って両膝を立てて座るため、隠し所があらわになっていた。腰から下の病に霊験があるとして女性の参詣が多く、祈願する者は像に紅を塗った。昔、その姿が不作法だとして村の女たちが一針ずつ縫った褌を猿の腰に巻くと、その夜女たちは高熱に浮かされて狂い回り、像を刻んだ聖者の意に背くから下帯を外せと口走ったので、すぐに取り除いたという。
原典より
ところがその女たちは、その晩大熱を発生し、狂ってはいまわり、「我を刻んで開帳した聖者の意に背く、早く下帯を取り除け」と口走った。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。