鹿島の彌勒踊
どんな伝承か
常陸鹿島のあたりの土俗の習いに、物の祝いなどある折、また祈事をする日など、老婆たちが多く集まり、弥勒謡といって各々声をあげて歌をうたい、太鼓を打って踊った。手を振りつつ踊るさまがいとおかしく、中昔の風と見えたという。この記事は『利根川図志』にあるが、後にわかったことは、これはこの本より数十年も前に出版された『鹿島志』からの全文転載であって、したがって安政年間までもこの踊が行われていたという証拠にはならない。ただ一方には鶴峯戊申の『海西漫録』に、これより少し前に鹿島宮へ参詣し、老女が蓆の上に坐してこの歌をうたうのを聴いたという記事もある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。