久米島の鼠送りの祭文
どんな伝承か
久米島と伊平屋島には、神に鼠の退治を祈った祭文の二百数十年前のものが残されていた。久米島仲里間切の祭文では、デルヤ、つまりニルヤの大つかさ、またの名をカナヤの若つかさという神に、田を荒らす悪い鼠どもを引き取って石の瀬の下に閉じ込めるか、二度と渡って来ないよう誓わせてほしいと念じている。この鼠送りのオタカペは数篇あって村ごとに少しずつ違うが、どれも冒頭で鼠の素性を説く。それによると鼠の元祖は日輪の神である天のテダで、その子オトヂキョが生んだ子、あるいはテダの生みそこないの子として人の世に降り、殖えて悪さをするのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。