七島の女の入墨と鉄漿
どんな伝承か
トカラ七島の南端の宝島と奄美大島の笠利岬の間は、潮の流れが最も速い四十数海里の海で、民俗の上でも一つの境になっている。白野夏雲が宝島・悪石島の島々を巡視したとき、手に入墨をした女を何人か見かけたが、いずれも大島から嫁いで来た女性だったと『七島問答』に記されている。海峡を越えて嫁ぐほどの交流はあっても、入墨の習いは七島には入らなかった。代わりに七島の女は、十三歳の五月にただ一度だけお歯黒をつけ、それを一人前の女になった印としたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。