昼の空に星が現れた星見堂
どんな伝承か
根古屋城址のある上山口には、建武のころ山口党に属する小太郎という武士が住んでいたと「上山口村地誌」は記す。小太郎が守り本尊として行基作と伝わる阿弥陀を祀ろうと、住まいのかたわらに堂を建てていたところ、よく晴れた昼のさなかに空へ星がいくつも現れて見えたという。そこでこの堂は星見堂と名づけられ、小太郎もまた星見を名字とするようになったとされる。著者はこの記事などから、星見小太郎とは山口城主高治の子の山口小太郎高忠のことで、古記に見える伏見小太郎は星見の誤伝か別名にすぎないと推している。
原典より
「山口黨の屬士小太郎此地に居住し、守護物行基大士眞作の阿彌陀を安置せんと居地の傍に堂宇を造営する時、晴天日中に數星顯はれ見えたりと。—— 行楽と史蹟の武蔵野(寺島裕・1937年(昭和12年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
行楽と史蹟の武蔵野(寺島裕・1937年(昭和12年))
『行楽と史蹟の武蔵野』は、寺島裕が昭和十二年に著し、新生堂から発行した武蔵野の史跡探訪記である。狭山丘や山口貯水池の周辺から、行田・粕壁・生田・淀橋・中野・柴又・多摩御陵などの社寺、城址、古戦場、塚を歩いて訪ね、交通の便とともに由緒や伝説を記す。小橋一太と新井堯爾の序文、著者の自序を巻頭に置き、前著「史蹟の武蔵野を探ねて」に続く行楽案内として土地ごとの短い節を連ねる。