青鬼の面が外れず死んだ子守女と広斎寺の杉
どんな伝承か
横芝光町虫生の広斎寺は、鬼舞と呼ばれる仏教劇が伝わる寺として知られ、昔はその芸能に赤鬼・黒鬼・青鬼の面を用いていた。あるとき意地の悪い子守女が青鬼の面を持ち出してかぶり、子どもを脅かして遊んでいたところ、面が顔に貼りついて外れなくなり、苦しみ抜いた末に面をつけたまま死んでしまった。村人は鬼の祟りと恐れ、子守女を葬った場所に杉を植えた。それが先年まで残っていた広斎寺の杉である。青鬼の面はこの一件で失われたため、今の鬼舞は赤鬼と黒鬼の面だけで演じられている。
原典より
匝瑳郡光町虫生の広斎寺は、鬼舞といわれる仏教劇が伝わっている寺として知られているが、昔はその芸能に赤鬼・黒鬼・青鬼の面を使っていた。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。