将門と天女の子を祀る綱田の妙見
どんな伝承か
昔、平将門が下総国佐倉のおもが池に遊覧した時、羽衣を脱いで遊ぶ天女を見て、ひそかに欺いて羽衣を奪った。天女はしきりに返してくれと乞うたが将門は返さず、ついに連れ去って夫婦の契りを結び、十年の間に良文・良兼・良持の三人の子を生ませた。三子を生んだ後、天女は羽衣を請い、観音に化身して昇天したという。千葉・相馬の一類が天女を妙見と祀り、守護神と崇めるのはこの因縁によるとされ、千葉六流の一つといわれる綱田の妙見は久留里の浦田にあって、今もこの天女を祭っている。
原典より
昔、平将門が、下総国佐倉の、おもが池へ遊覧した時、一人の天女が、羽衣を脱いで遊んでゐるのを見て、将門は、天女をひそかに欺いて羽衣を奪い取った。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年))
『日本伝説叢書 上総の巻』は、藤沢衛彦が大正六年に編んだ上総国の伝説集である。夷隅・長生・山武・市原・君津の五郡にわたり、地名の由来、社寺の縁起、城と武将の事跡、大蛇や狐つきの怪異、俚謡や民間の風俗を、口碑や『総国誌』などの地誌から集める。巻頭に著者の序と緒言を置き、上総国と郡の名義を説いたのち、郡ごとに町村の所在を添えた見出しで一話ずつ並べる。