旅費を返しに来た開の大杉
どんな伝承か
刈田郡七ヶ宿村関村の薬師堂の傍らに一本の大杉がある。渡部勘兵衛の時代、お杉という女が伊勢参宮をして帰りの旅費に窮し、別当から二貫の金を借りた。その後返済しないので尋ねると、お杉という者はおらず、大杉の枝に布片に包んだ金二貫と神札とが掛かっていたという。また昔、開の大杉と名乗る力士が関西に旅して金に困り、道連れの旅商人に金を借りた話もある。後にこの旅商人が刈田郡関村に来て開の大杉という力士を尋ねたが居らず、杉の古木に袋が懸かっていて、中に金が入っていたと伝える。同じ型の話は新潟県南魚沼郡や佐渡郡にもあり、伊勢参りをした杉や松が路銀を返したと語られている。
原典より
藥師堂の傍に一本の大杉がある。—— 日本伝説名彙(柳田国男・日本放送協会・昭和25年刊) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男・日本放送協会・昭和25年刊)
柳田国男・日本放送協会編『日本伝説名彙』を全650話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。