井戸に身を投げたお菊と戻った皿
どんな伝承か
上臼井の豪家清左衛門の下女お菊は、家宝の皿一枚を紛失した罪を着せられ、屋敷内の井戸に身を投げた。その亡霊が毎夜現れて皿を数え、九つに至ると泣き出したという。お菊の情夫三平は回向のため旅に出て播州に逗留し、そこへ訪ねてきた女と夫婦になる。のちに名僧が来て三平夫婦が参詣すると、にわかに雷雨となり、晴れてみれば妻の姿はなく衣類だけが残り、その中に紛失した皿があった。皿は寺に納め、菊の菩提を弔ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。