畠山重忠が穂を切った葭
どんな伝承か
鷲ノ口の奥に畠山重忠が籠っていたころ、ある夜、大軍が攻め寄せたと騒ぎになった。確かめてみると、敵の松明や提灯と見えたものは、風に揺れる葭の穂であった。大将は腹を立て、葭は生えても穂を出すなと言い放って穂を切り払ったという。それ以来、吉原窪の葭は決して穂を出さないと伝える。
原典より
鷲ノ口、昔、畠山重忠が鷲ノ口の奥に籠つてゐるとき、ある夜敵の大軍が攻めて来たので、調べて見ると、敵の松明や提灯だと思つたのはみな葭の穂であつた。—— 日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。