赤子の声がした五反田の子産石
どんな伝承か
五反田の路傍に、差し渡し一丈五尺ほどの大石がある。夜ごと赤子の泣き声がするというので産石と呼ばれた。のちに脇へ子安明神を祀ったところ、声はやんだという。昔、赤子を抱いた巡礼がここで休んで乳を与えていたところ、山の上から突然この石が転がり落ち、母子を下敷きにして埋めてしまった。それから泣き声が聞こえるようになり、村人が冥福を祈って石碑を建てると、声は聞こえなくなったと伝える。
原典より
夜毎に赤子の啼聲がするので産石といつてゐる。—— 日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。