池を干す農夫をねぎらった水底の人
どんな伝承か
享保年間の八月一日、ある農夫が井手を落とし、魚を捕ろうとしてこの池の水を干そうとした。ところが水はいっこうに減らず、夕方になって水底から怪しい姿の人が現れ、ねぎらいの言葉をかけて消えた。するとたちまち池は元どおり満々と水をたたえたという。以来この池を辛労池と呼び、ここの魚は捕らないことになっている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。