羽を黄金に換えた鶴の恩返しの塚
どんな伝承か
醍醐天皇の御代のこと、石橋村の御門助という貧しい男が、大晦日に妻の織った絹を売りに出かけた。途中、罠にかかった鶴を見つけ、絹と引き換えに助けて手ぶらで帰った。その夜、美しい少女が訪ねてきて、三粒炊けば釜いっぱいになる米と、いくらでも絹の出る筒を携え、養女となって夫婦に孝養を尽くした。国主の召しを断って科料千両を課されると、鶴の羽千枚を黄金に換えて納めたという。やがて少女は暇を告げ、白鶴となって飛び去った。跡地に千部経を埋めて塚を築き、鳥類の苦しみを祈ったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。