盆参りの帰りに水田で遊ぶガワタロー
どんな伝承か
明治三十年ごろ、書き手の母が実際にガワタローを見た話。お盆に父母は父の生家へ盆参りに出かけ、帰りは夜十二時を過ぎたが星月夜だった。藤巻妙見を過ぎ、白禿山の山沿いの出鼻に出ると、道から数間先、白椿と呼ばれる大椿のそばの水田で、三つか四つほどの子どもが三人ばかりチャブチャブと水音を立てて遊んでいる。母が目を凝らしても人の子とは思えず、ガワタロではないかと言うと、父もそうかもしれん、気づかれんように通ろうと答え、二人は足音を忍ばせて通り抜けた。家で爺さんに話すと、あそこはガワタローの出る所で、昔は冬に山からヤマワロが降りてくる所だと言ったという。
原典より
わしはこの目で何べんも見たんじゃ。—— 現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。