峠の竹やぶで一升瓶で打ったガワッパ
どんな伝承か
吉原部落の徳二郎さんは、一生に三度ガワッパに出会ったという。若いころ、梅雨の雨の降る夕方、用事で満願寺部落まで出かけた帰りのこと。扇部落の峠を越え、竹やぶの迫る下り坂を一升瓶を提げて歩いていると、一間ほど先に、目玉の鋭く光る三尺ほどのものが立って振り返っている。一歩進むと向こうも一歩進んで振り返る。肝の太い徳二郎さんは一升瓶を持ち替えて打ちかかった。するとそれはギャーッと叫んで竹やぶへ飛び込み、消えた。恐ろしくなった徳二郎さんは坂を駆け下りて一軒の家に泊めてもらい、翌朝戻ると一升瓶は転がっていた。家の者はそれはガワッパだと言ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。