用水堰のそばにいた赤毛の小さな河童
どんな伝承か
更級郡青木島村字丹波島、いまの長野市青木島の「田圃の家」という家の当主、小池勘之助は、十一、二の頃に柿の木から落ちて腕を挫き、同じ郡の東福寺村にあった揉医者のもとへ通っていた。その途中、田圃の中の用水堰のそばまで来ると、身の丈一尺ばかりで全身が赤く毛の生えた、小児のようなものが川畔に跨っていた。それは自分の足音を聞いてどぶんと水中へ飛び込んだ。はっとした瞬間に見ただけで、子供の頃のことだから確かなことはいえぬが、あれが話に聞く河童であろうと語ってくれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。