増水の川で尻子を抜かれた伊左衛門
どんな伝承か
神城村字飯田、いまの白馬村の横川利七という、大正十一年に八十三歳の老人に河童のことを尋ねたときの話。川水が出ると河童が上ってきて、グワァグワァグワァと音がするのでそれと分かるという。かつてこの村の伊左衛門という男が、麻を煮る薪を取りに行った帰り、川がひどく増水していたのを荷を背負ったまま越そうとして足をさらわれ、流された。一度は川中でひょっくり立ったが、また尻餅をついてしまい、そのはずみに尻子を抜かれてしまったのだと話してくれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。