朝山村の溜池で沈んだ九歳の子
どんな伝承か
明治二十三年のことと記憶する、島根県大田市の話。石見国安濃郡朝山村(現大田市朝山)の岩谷氏の三男、九歳の男子が、夏の日に学校の帰り、三、四人の学友と山間の溜池に入って泳いでいた。すると友達が大声を挙げて「岩谷が躍るわ躍るわ」と騒いだ。岩谷はもがいて沈んでいった。引き揚げてみると肛門が開いていたので、やはり河童の仕業だと言われたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。