帽子を取るまで橋から落とすえんこう
どんな伝承か
南国市下末松での話。語り手の東隣は野島弘海の家で、二女の美代の嫁入りの当日、親戚や近所の者が総出で宴会や荷送りの準備に追われていた。そのとき久札田の叔父が急用でいったん帰ることになり、自転車で出たが、まもなくびしょ濡れで舞い戻ってきた。二又の橋から自転車ごと落ちたという。着替えて出直したがまた落ち、三度目にも落ちて、新客用の買いたての帽子を流してしまい、皆で探しても見つからなかった。四度目は往復とも無事で、帽子をかぶっていない叔父には、えんこうはもう用がなかったのかもしれないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。