えんこうが子の肛門を抜く
どんな伝承か
著者の村では、麦の熟れる頃にしばてんが現れて、夕方野で遊ぶ子供を連れ去ると恐れられていた。そのしばてんの一種とされたのがえんこうで、水で泳いでいる子供の肛門を抜き取ると言い伝えられていた。日清戦役より前の半農半漁の土佐の海村で、生霊や犬神、七人御先、船幽霊などと並んで村人の心を縛っていた数々の迷信の一つである。
原典より
そのしばてんの一種のえんこうは水に泳いでいる子供の肛門をぬいた。—— 日本の怪談(二)(田中貢太郎・日本の怪談シリーズ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(二)(田中貢太郎・日本の怪談シリーズ)
『日本の怪談(二)』は、田中貢太郎が書いた怪談・奇談の短編集である。著者が「私の村」と呼ぶ土佐の海村の迷信を語る「鷲」のほか、高岡郡や長岡郡、野根山など土佐の話を多く含み、越中の放生津や立山、銚子の利根川口、京の寺町、摂津の味泥、館林の城下、江戸の碑文谷などを舞台に、蟹や蛇の怪、鮭の祟り、山姑、亡者宿、切支丹の妖術を物語の形で書く。「蟹の怪」から「鶏物語」まで二十八篇を収め、友人や土地の人から聞いた話として語る篇もある。